肩が痛くて腕が上がらないとき:手術をしない関節治療という選択肢

洗濯物を干すとき、高い棚の物を取るとき、服を着替えるときに肩が痛む。年齢のせいだと我慢しているうちに、夜も痛みで目が覚めるようになる方は少なくありません。この記事では、腕を上げると痛む肩の主な原因と、自宅でできること、整形外科での治療、そして自分の血液や脂肪組織を使う再生医療的な注射がどこに位置づけられるのかを整理します。

腕を上げると痛む主な原因

肩は体の中で最も動く範囲が広い関節で、そのぶん痛みの原因もさまざまです。腕を上げたときに痛む場合、よく見られるのは次のような状態です。
• 肩関節周囲炎(いわゆる四十肩・五十肩):関節を包む組織の炎症で、動かせる範囲が狭くなる
• 腱板の損傷や断裂:肩を支える筋肉の腱が傷み、特定の角度で痛みや力の入りにくさが出る
• 肩の変形性関節症:軟骨がすり減り、動かすと痛みやこわばりが出る
• 石灰の沈着や滑液包の炎症:急に強い痛みが出ることがある

また、首の骨や神経の問題から肩や腕に痛みが広がることもあり、本人は肩の病気だと思っていても原因が別の場所にある場合があります。

症状が似ていても、原因によって適した治療は大きく異なります。どの角度で痛むのか、夜間に痛むのか、力が入りにくいのかをメモしておくと、診察のときに役立ちます。自己判断で様子を見続けず、痛みが数週間続くときは整形外科を受診しましょう。

まず自宅でできることと避けたい動き

痛みが出始めた時期は、肩に無理な負担をかけないことが大切です。ただし、まったく動かさないでいると関節が固くなり、かえって回復が遅れることがあります。

自宅で気をつけたいこと:
• 痛みが強い動き、特に腕を高く上げる動作や重い物を持つ動作は一時的に控える
• 痛みの出ない範囲で、腕を前後にぶらぶら揺らすような軽い運動を続ける
• 寝るときは痛む側を下にせず、腕の下にクッションを置いて楽な姿勢をとる
• 急に痛くなった直後は冷やし、慢性的なこわばりには温めると楽になることが多い

パソコンやスマートフォンを長時間使うと、猫背になり肩の前側に負担がかかります。画面の高さを調整し、こまめに姿勢を変えることも予防につながります。

市販の痛み止めや湿布で一時的に楽になっても、痛みの原因が解決したわけではありません。数週間たっても改善しない場合や、腕が上がらない状態が続く場合は、医師の診察を受けてください。

整形外科での検査とリハビリ、注射

整形外科では、肩の動く範囲や筋力を確認したうえで、レントゲンで骨や関節の変化を、超音波検査やMRIで腱や軟骨の状態を調べます。原因がわかれば、治療の方針も立てやすくなります。

治療の中心になるのはリハビリです。理学療法士の指導のもとで、肩甲骨の動きを整え、肩を支える筋肉を少しずつ鍛えていきます。痛み止めの内服や湿布は、リハビリを続けやすくするための補助として使われます。

炎症が強いときには、関節内へのステロイド注射やヒアルロン酸注射が行われることもあります。ステロイド注射は痛みを早く和らげることがありますが、効果は一時的なことが多く、頻繁な使用は勧められません。

近年は、患者さん自身の血液や脂肪組織から作る注射も選択肢として知られるようになりました。モスクワのCity Medical Centreは、東京から相談する方向けの手術をしない関節治療のページで、肩、膝、股関節などへのこの方法を紹介しています。どの治療が合うかは、画像検査の結果をもとに医師と相談して決めることが大切です。

PRPとSVF:自分の組織を使う治療の流れ

PRPは多血小板血漿のことで、少量の採血をして遠心分離し、成長因子を含む血漿を関節に注射します。炎症を落ち着かせ、組織の修復に適した環境を整えることを目的としています。単独で数回の注射として行うこともあれば、SVFと組み合わせることもあり、軽度の変形性関節症でよく用いられます。

SVFは間質血管細胞群と呼ばれ、組織の修復にかかわる細胞の集まりです。局所麻酔をして、お腹や太ももの内側から小さな穴を通じて約30mlの脂肪組織を採取します。縫合は必要ありません。採取した組織を遠心分離で処理し、血漿と混ぜて注射します。関節の変化がよりはっきりしていて、長く続く効果を目指す場合に検討されます。

同センターによると、注射はすべて超音波で位置を確認しながら行われ、治療は1日で終わります。松葉杖や入院は必要ありません。経過観察は1か月後、3か月後、6か月後に行われ、通常は最初の1か月で痛みが和らぎ、3か月ほどで動きが改善し、6か月ほどかけて効果が十分に現れるとされています。ただし個人差があり、結果を約束するものではありません。

この治療が向かない人と、受診を急ぐべき症状

再生医療的な注射は、早期から中等度の段階で最も効果が期待できる方法です。変化が進んだ段階では、人工関節のほうが現実的な選択肢かどうかを、医師が率直に説明する必要があります。

次のような場合は、この治療を受けられません。
• がん
• 妊娠中・授乳中
• 血液の凝固異常
• 関節やその周囲を含む急性の感染症
• 重い慢性疾患の悪化、心臓・腎臓・肝臓の重い病気

発熱、かぜやインフルエンザ、関節の上の皮膚の炎症は一時的な理由で、治ってから改めて検討できます。

肩が急に腫れて熱をもつ、発熱を伴う、転倒後に腕がまったく上がらない、腕にしびれや力の入らなさが広がるといった場合は、早めに医療機関を受診してください。

海外での治療を考える場合は、レントゲンやMRI、超音波の画像を事前に準備しておくとスムーズです。同センターでは初回の相談と画像の確認が無料で、オンラインでの相談もできます。費用などの詳細はコーディネーターに確認するのが確実です。どの治療を選ぶにしても、まずは医師による正確な診断から始めましょう。